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どんな指摘が
返ってくるのか。

出された調査計画、指摘、なぜ問題か、どう直すか。 この4つを1件ずつ書いています。10件を公開しました。

「指摘なし」で返る例も入れてあります。 何でも問題にする仕事ではありません。

ここに載せているのは実案件ではありません。想定される典型を、こちらで作ったものです。 実際の判断が積まれたら、個人・学校を特定できない形に加工したうえで差し替えます。

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10 件

S-01重大な懸念個人向け/アンケート

校内の部活動と学業の両立

高校生が、同じ学校の生徒に

出されたもの
設問1「学年を選んでください」/設問2「所属する部活動を選んでください」/設問3「通学時間を教えてください」/設問12「成績は学年で上位何割くらいですか」
指摘
学年、部活動、通学時間の3つを組み合わせると、回答者が1人に絞れる場合があります。そこに成績の回答が紐づきます。
なぜ問題か
小規模な部活動では、学年と部活動だけで候補が数人になります。通学時間が加わればほぼ特定できます。回答者は「匿名だ」と思って正直に答えますが、集計表を見た人には誰の回答か分かってしまいます。
どう直すか
部活動は「運動部/文化部/所属なし」の3択に丸めてください。通学時間の設問は、テーマ上どうしても必要かを再検討してください。必要なら「30分未満/30分以上」の2択にします。成績の設問は削除するか、答えなくても送信できるようにしてください。
根拠:vε 第8条・第4条再識別属性の組み合わせ校内調査
S-02要修正個人向け/インタビュー

地域の高齢者の買い物事情

高校生が、商店街で出会った高齢者に

出されたもの
依頼文「地域の課題について研究しています。5分ほどお話を聞かせてください。録音させていただきます。」
指摘
録音したものを、いつまで、どこに保管し、いつ消すのかが書かれていません。話したあとで「やっぱり使わないでほしい」と言える経路もありません。
なぜ問題か
録音は、その場では軽く聞こえても、後から不安になるものです。撤回の方法が示されていないと、断りにくさが残ります。実質的に選べる状態になっていません。
どう直すか
依頼文に3行足してください。「録音は、まとめが終わったら消します(〇月〇日まで)」「あとから『使わないでほしい』と言っていただければ、その場で消します」「連絡先はこちらです」。連絡先は本人の携帯番号ではなく、保護者の連絡先か学校の窓口にしてください。
根拠:vε 第2条・第10条録音同意撤回
S-03要修正個人向け/アンケート

SNSの利用時間と睡眠

高校生が、SNSで募集した同年代に

出されたもの
すべての設問が必須回答。未回答のままでは送信できない設定。
指摘
答えたくない設問にも答えなければ、送信できません。
なぜ問題か
「答えない」という選択が消えています。同意欄にチェックを入れていても、途中でやめられないなら、実質的に選べる状態ではありません。SNS経由で回答するのが同年代の未成年である点も、断りにくさを強めます。
どう直すか
必須にするのは、回答の成立に不可欠な設問だけにしてください。それ以外は任意にし、各設問に「答えたくない」の選択肢を置いてください。冒頭に「途中でやめても構いません。閉じれば送信されません」と書いてください。
根拠:vε 第2条・第3条未成年が対象SNS募集必須回答
S-04指摘なし個人向け/アンケート

文化祭の来場者アンケート

高校生が、来場者に

出されたもの
設問は5問。満足度、来場のきっかけ、良かった企画、改善してほしい点、自由記述。氏名・連絡先は聞かない。
指摘
レビューを行った範囲において、修正を要する事項は認められませんでした。
なぜ問題か
個人を識別する情報を取らず、設問も負担の小さいものに限られています。自由記述に個人名を書かせる誘導もありません。
どう直すか
直すところはありません。自由記述に他人の名前が書かれた場合の扱いだけ、集計の前に決めておくと安心です。
来場者匿名短時間
S-05重大な懸念個人向け/インタビュー

外国にルーツを持つ生徒の学校生活

高校生が、校内の該当する生徒に

出されたもの
「本校の外国にルーツを持つ生徒の困りごとをまとめ、文化祭で発表します」。対象者は校内で4名。
指摘
対象が校内で4名です。「外国にルーツを持つ生徒」として発表した時点で、誰のことかが校内に分かります。
なぜ問題か
本人が同意していても、集団が小さいと、発表そのものが個人の特定になります。さらに「困りごと」という枠組みで語られることで、その集団が校内で「困っている人たち」として固定される可能性があります。本人が望んでいない像を作ってしまいます。
どう直すか
校内での発表という形を見直してください。校外の同年代に広げて対象を増やすか、発表先を校外にするか、あるいはテーマを「本人の経験」ではなく「学校の仕組み」に移してください。テーマ自体を諦める必要はありません。
根拠:vε 第8条・第9条・第6条少数集団スティグマ公表
S-06要修正個人向け/アンケート

教員の働き方

高校生が、自校の教員に

出されたもの
担任の先生から職員室で配ってもらい、回収も担任経由。
指摘
配布と回収の経路が、断りにくさを作っています。
なぜ問題か
生徒から教員への依頼なので、一見すると立場は逆です。しかし配布と回収を担任が担うと、誰が出して誰が出していないかが担任に見えます。教員どうしの関係のなかで、断りにくさが生まれます。
どう直すか
回収を封筒や箱にして、誰が出したか分からない形にしてください。配布も職員室に置いて自由に取ってもらう形にできます。依頼文に「回答は任意です」と明記してください。
根拠:vε 第3条権力関係断りにくさ教員が対象
S-07要修正学校・塾向け/アンケート

校則に対する生徒の意識

学校が、全校生徒に

出されたもの
ホームルームの時間に、担任が配布して、その場で回収。学籍番号の記入欄あり。
指摘
学校が主体で、授業時間内に、担任の前で、学籍番号つきで回答させています。この4つが重なっています。
なぜ問題か
生徒から見ると、断る手段がありません。学籍番号があるため匿名でもありません。校則という、学校と生徒の利害が対立しうるテーマでこの設計を取ると、回答が本音から離れます。データとしての質も落ちます。
どう直すか
学籍番号の欄を外してください。学年とクラスだけで分析に足りるかを確認してください。回収は箱にしてください。回答しない自由があることを、口頭でも文書でも伝えてください。
根拠:vε 第3条・第2条学校が主体全校調査名簿
S-08要修正学校・塾向け/アンケート

卒業生の進路追跡

学校が、卒業生に

出されたもの
同窓会名簿の住所へ、進路と現在の年収を尋ねる質問紙を送付。
指摘
同窓会名簿は、同窓会の連絡のために集められたものです。それを調査の対象者抽出に使っています。
なぜ問題か
名簿に載せた人は、調査に使われるとは思っていません。取得したときの目的と、いま使おうとしている目的が違います。年収という答えにくい項目が含まれる点も、負担を大きくしています。
どう直すか
同窓会に、名簿を調査に使ってよいかを確認してください。難しければ、同窓会の会報に調査への協力依頼を載せ、応じてくれた人にだけ送る形にしてください。年収は、テーマ上どうしても必要かを再検討してください。
根拠:vε 第2条・第10条名簿の利用二次利用目的外
S-09指摘なし学校・塾向け/アンケート

部活動の指導方法

学校が、生徒と保護者に

出されたもの
Web フォームで、学年のみ記入。回答は任意で、回答しなくても不利益がないことを冒頭に明記。自由記述に「特定の指導者名は書かないでください」と注記。
指摘
レビューを行った範囲において、修正を要する事項は認められませんでした。
なぜ問題か
匿名性が確保され、任意であることが明示され、自由記述で第三者が名指しされる経路もふさがれています。
どう直すか
直すところはありません。自由記述に指導者名が書かれてしまった場合の扱いを、集計の前に決めておくと安心です。
学校が主体匿名任意
S-10要修正個人向け/二次利用

公開統計を使った地域比較

高校生が、公開データを

出されたもの
市区町村別の統計から、特定の地区を「課題の多い地域」として名指しで比較。
指摘
人を対象に聞いてはいませんが、特定の地域に像を与えています。
なぜ問題か
公開データを使うこと自体に問題はありません。ただし「課題の多い地域」という枠でまとめて公表すると、そこに住む人に不利益が及ぶ可能性があります。誰にも聞いていないので、反論の機会もありません。
どう直すか
地区名を伏せるか、比較の枠組みを「地域の差」ではなく「指標どうしの関係」に移してください。名指しが必要なら、その地域で活動している人に話を聞いて、記述を確かめてください。
根拠:vε 第8条二次利用集団の像公表

How to read

この例の読み方

指摘には、根拠になった基底原則 vε の条を添えています。 なぜその指摘なのかを辿れるようにするためです。 条文は 倫理体系 にあります。

「どう直すか」まで書くのが、この商品の条件です。指摘だけを返して修正案を書かないレビューは、高校生と保護者にとって使えません。

テーマそのものを諦めさせる指摘は、できるだけ避けます。 vε 第1条は、テーマが論争的であることや、結論が誰かにとって望ましくないこと自体を、 制限の理由にしてはならないと定めています。 止めるべきなのは、他者に不当な負担を課す実施の仕方であって、問いではありません。

Next

この例を見て、どうするか

お子さんの調査について

個人向け

高校生が個人の名義で行う調査を、実施の前にレビューします。

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組織としての体制について

学校・塾向け

こうした判断を、教員一人ではなく組織の仕組みで引き受ける形にします。

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